第11回目フランス国立科学研究センター(CNRS)・上智大学イスラーム地域研究所(SIAS)・京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)ジョイントセミナー “SUFISM AND SAINT VENERATION PAST AND PRESENT” 報告

第11回目フランス国立科学研究センター(CNRS)・上智大学イスラーム地域研究所(SIAS)・京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)ジョイントセミナー “SUFISM AND SAINT VENERATION PAST AND PRESENT” 報告

第11回目となるフランス国立科学研究センター(CNRS)・上智大学イスラーム地域研究所(SIAS)・京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)のジョイントセミナーが9月1日にパリで開催された。2019年以来の対面開催であり、参加者たちが有意義な意見交換を行える貴重な機会であった。発表者は日本側から4名、フランス側から2名である。発表プログラムに関して言えば、多岐にわたる話題が提示されたが、その中でも以下の発表が興味深く感じた。Makbule Nur Ayan氏(CNRS-CETOBaC)の発表は、トルコ共和国におけるアフマド・ヤサヴィー(1166年没)の政治的利用を演説等の分析から検討した内容であり、時代や論者によって異なるヤサヴィー解釈の変遷を追ったものであった。また丸山大介氏(防衛大学)の発表は、イスラーム主義者(Islamist)が “Ahl al-Dhikr” というタームによって、如何にしてスーフィーやサラフィー主義者の集団を包括しようとしていたかという試みを考察したもので、興味深い内容であった。セミナーを通じて質疑応答も盛んに行われ、歴史学・人類学・思想研究などの専門分野から様々な意見が出た。今回のセミナーは “Sufism and Saint Veneration: Past and Present” というテーマで開催されたが、これは単に研究対象の時代だけを指したものではなく、スーフィズム・聖者信仰研究の過去と現在を示し、新たな知見を提示するものであった。また、発表者の研究関心はそれぞれであるが、全体としてはスーフィー・サラフィーの関係性を問い直すような試みが多く取られていたことが特筆すべき点である。

(原陸郎)

*************************************
【日時】9月1日 9:30-16:30(フランス時間)
【場所】Collège de France – Centre d’études ottomanes Salle Claude Lévi-Strauss, 52 rue du Cardinal Lemoine, 75005 Paris

【プログラム】
9:30-9:45 Alexandre PAPAS (CNRS-EPHE) & Thierry ZARCONE (CNRS-GSRL): Introduction

9:45-10:15 HARA Rikuo (Kyoto University): “Traditionalist Ways of Dhikr: The Case of Ibn Qayyim al-Jawzīya”
10:15-10:30 Rachida CHIH (CNRS-CETOBaC): Chair, Q&A

10:30-11:00 KONDO Fumiya (Sophia University): “From Festivals to Anniversaries: Recent Reconstructions of Mawlid’s Space in Egypt”
11:00-11:15 Rachida CHIH: Chair, Q&A

11:15-11:30: Break

11:30-12:00 UCHIYAMA Chie (Sophia University): “Destructuring the Discours of ‘Islam noir’ Persisting in Senegalese Islamic Education”
12:00-12:15 Thierry ZARCONE: Chair, Q&A

12:15-13:45 Lunch

13:45-14:15 Clara GAUTIER (Université Paris 1 Sorbonne): “Burns and scars: representations of Bektashi self-mutilations in illustrated manuscripts and in various ‘Collection of Ottoman Costumes’ (15th-18th centuries)”
14:15-14:30 AKAHORI Masayuki (Sophia University): Chair, Q&A

14:30-15:00 Makbule Nur AYAN (CNRS-CETOBaC): “Khoja Ahmad Yasavi in Turkey’s political discourse between 1998 and 2022”
15:00-15:15 TONAGA Yasushi (Kyoto University): Chair, Q&A

15:15-15:30: Break

15:30-16:00 MARUYAMA Daisuke (National Defense Academy of Japan): “Who are Ahl al-Dhikr?: Political Appropriation of Sufism and Saint in Contemporary Sudan”
16:00-16:15 Alexandre PAPAS: Chair, Q&A

16:15-16:30 AKAHORI Masayuki & TONAGA Yasushi: Conclusion

Convenors:
Akahori M., Tonaga Y., C. Gautier, Kondo F., A. Papas, Suzuki M., Th. Zarcone

Sponsors:
Institute for Islamic Area Studies (SIAS)
Center for Islamic Studies-Graduate School of Asian and African Studies (KIAS)
Kenan Rifai Center for Sufi Studies (KR)
Groupe Société, Religion et Laïcité, UMR8582 – CNRS (GSRL)
Islam médiéval, UMR8167 – CNRS (Orient et Méditerranée)
Centre d’études ottomanes, Collège de France (CEO)

SIAS/KIAS-CNRSジョイントセミナー “SUFISM AND SAINT VENERATION PAST AND PRESENT”を開催しました

京都大学ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センターは京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)、上智大学イスラーム地域研究所(SIAS)、フランス国立科学研究センター(CNRS)との共催によるジョイントセミナー “SUFISM AND SAINT VENERATION PAST AND PRESENT”を、以下の通り開催しました。

【日時】9月1日 9:30-16:30(フランス時間)
【場所】Collège de France – Centre d’études ottomanes Salle Claude Lévi-Strauss, 52 rue du Cardinal Lemoine, 75005 Paris

【プログラム】
9:30-9:45 Alexandre PAPAS (CNRS-EPHE) & Thierry ZARCONE (CNRS-GSRL): Introduction

9:45-10:15 HARA Rikuo (Kyoto University): “Traditionalist Ways of Dhikr: The Case of Ibn Qayyim al-Jawzīya”
10:15-10:30 Rachida CHIH (CNRS-CETOBaC): Chair, Q&A

10:30-11:00 KONDO Fumiya (Sophia University): “From Festivals to Anniversaries: Recent Reconstructions of Mawlid’s Space in Egypt”
11:00-11:15 Rachida CHIH: Chair, Q&A

11:15-11:30: Break

11:30-12:00 UCHIYAMA Chie (Sophia University): “Destructuring the Discours of ‘Islam noir’ Persisting in Senegalese Islamic Education”
12:00-12:15 Thierry ZARCONE: Chair, Q&A

12:15-13:45 Lunch

13:45-14:15 Clara GAUTIER (Université Paris 1 Sorbonne): “Burns and scars: representations of Bektashi self-mutilations in illustrated manuscripts and in various ‘Collection of Ottoman Costumes’ (15th-18th centuries)”
14:15-14:30 AKAHORI Masayuki (Sophia University): Chair, Q&A

14:30-15:00 Makbule Nur AYAN (CNRS-CETOBaC): “Khoja Ahmad Yasavi in Turkey’s political discourse between 1998 and 2022”
15:00-15:15 TONAGA Yasushi (Kyoto University): Chair, Q&A

15:15-15:30: Break

15:30-16:00 MARUYAMA Daisuke (National Defense Academy of Japan): “Who are Ahl al-Dhikr?: Political Appropriation of Sufism and Saint in Contemporary Sudan”
16:00-16:15 Alexandre PAPAS: Chair, Q&A

16:15-16:30 AKAHORI Masayuki & TONAGA Yasushi: Conclusion

Convenors:
Akahori M., Tonaga Y., C. Gautier, Kondo F., A. Papas, Suzuki M., Th. Zarcone

Sponsors:
Institute for Islamic Area Studies (SIAS)
Center for Islamic Studies-Graduate School of Asian and African Studies (KIAS)
Kenan Rifai Center for Sufi Studies (KR)
Groupe Société, Religion et Laïcité, UMR8582 – CNRS (GSRL)
Islam médiéval, UMR8167 – CNRS (Orient et Méditerranée)
Centre d’études ottomanes, Collège de France (CEO)



 

報告はこちら

 

2023年2月15日 第4回「穏健イスラーム」研究会 報告

科研基盤A「非アラブにおける穏健イスラームの研究-インドネシア・パキスタン・トルコの事例から」と平和中島財団アジア地域重点学術研究助成「イスラーム主義に対抗する穏健イスラームの試み――インドネシアの「宗教的穏健化」政策を中心に」の第4回ジョイント研究会(「穏健イスラーム」研究会)
日時:2月15日(水)16~18時
場所:上智大学2号館6階(2-615a教室)[ ハイブリッド実施 ]

【報告1】井上あえか「マイノリティとしての指導者ジンナー」

ムハンマド・アリー・ジンナーはパキスタン建国の父と言われるが、さまざまな点で、インドにおけるマイノリティであった。例えば、ムスリムであったこと、シーア派であったこと(ホージャー派から12イマーム派へ改宗)、パールシーと結婚したこと、イスラームに関心が薄かったこと、ムスリム多数派州で支持されていなかったこと、当時のカリスマ的指導者ガーンディーと対立したことなどである。彼はムスリムが少数派とならず、安心して生きられる社会を求め、いわば非宗教的(政教分離的)な政治家として、ムスリムの利益を代表した。とくに、シーア派というムスリムの中のマイノリティであったことが問題にされず、建国の父となったことは、インド・ムスリムの多様性と、穏健なイスラームの伝統を示唆する可能性があるのではないか。

********

【報告2】山根聡「19世紀後半のウルドゥー語資料に見る文学空間と宗教-牝牛保護運動のマスナヴィー」

本報告では、南アジア、特に北インドで19世紀後半になって顕在化したヒンドゥーとムスリムの対立に関し、1880年代初めに刊行されたウルドゥー語の冊子『牝牛の嘆き』を取り上げて、先行研究で言及されてきた宗教間対立の動きに対し、対立の回避を企図する動きがあったことを報告した。
この雑誌はヒンドゥー教の改革団体「アーリヤ・サマージ」系のものでラーホールから刊行されたものである。ウルドゥー語で書かれており、ムスリムが必要以上に牝牛を屠殺する事を止めるように求める内容の記事や詩が収載されている。ヒンドゥー側がムスリムに呼びかけるような調子の記述が多く、中にはムスリムも登場してきてヒンドゥーに同調するような発言をしている。
従来の研究では、19世紀末の牝牛保護運動によってヒンドゥーとムスリムの断絶が深刻化したと語られてきたが、このように平和理に対立を避けようとした動きがあったことは、当時の資料の発掘と、再検討を要することを指摘した。

 

2023年6月11日 Rachida Chih先生の講演会を開催しました

ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センターおよびイスラーム地域研究センター「ウラマー・スーフィー研究班」は、フランスより近代アラブ・スーフィズム研究者のRachida Chih先生(CNRS-CETOBaC)を招へいし、上智大学イスラーム地域研究センターとの共催により、下記の要領で研究講演会を開催しました。
【日時】2023年6月11日(日曜日)13:00~15:00
【場所】上智大学 2号館6階2-603教室 [ハイブリッド実施]
【プログラム】
Rachida Chih (Centre National de la Recherche Scientifique)”The Presence of the Prophet: The Construction of the Figure of Muhammad and the Politics of Prophetic Piety in Early Modern and Modern Islam”

 

本研究講演会は、科研研究費助成事業(基盤研究(A))「非アラブにおける穏健イスラームの研究-インドネシア・パキスタン・トルコの事例から」(22H00034、JSPS)、および同(基盤研究(A))「イスラームおよびキリスト教の聖者・聖遺物崇敬の人類学的研究」(JP1900564, JSPS)の研究活動の一環として実施されました

2023年6月11日 2023年度第1回「穏健イスラーム」研究会を実施しました

科研基盤A「非アラブにおける穏健イスラームの研究-インドネシア・パキスタン・トルコの事例から」(22H00034)による2023年度第1回研究会(「穏健イスラーム」研究会)を対面とZoomのハイブリッド形式で実施しました。
【日時】2023年6月11日(日曜日)15:00~17:30
【場所】上智大学四谷キャンパス 2号館6階2-603教室 [ハイブリッド実施]
【プログラム】
東長靖「インドネシア調査報告」
和崎聖日「現代ウズベキスタン・イスラームの本流:ムハンマド=サーディク・ムハンマド=ユースフの思想」

報告はこちら

京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)講演会「知の先達たちに聞く―鎌田繁先生をお迎えして―」のお知らせ

京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)及びケナン・リファーイー・スーフィズム研究センターでは、「知の先達たちに聞く」と題して、これまで、日本人(一部外国人を含む)の先生方をお招きして講演会を催し、お話を伺ってきました。これまでの講演記会録につきましては以下のURLをご覧下さい(https://kias.asafas.kyoto-u.ac.jp/publication.html)。
15回目を迎える今回は、鎌田繁先生をお招きし、「極私的イスラーム研究」と題するご講演によって、これまでの研究生活を振り返っていただきました。

鎌田繁先生は、イスラーム思想史、とくにシーア派とスーフィズムの研究を先導してこられました。その成果は、単著の 『モッラー・サドラーの霊魂論-『真知をもつ者たちの霊薬』校訂・訳注並びに序説』(イスラム思想研究会、1984)、『イスラームの深層 – 「遍在する神」とは何か』(NHK出版、2015)、共著の『古典への誘い』 (いきいきトーク知識の泉 著名人が語る<知の最前線> 第2巻 リブリオ出版、2007)、編著の『聖典と人間』(鎌田繁・市川裕編、宝積比較宗教・文化叢書第6巻、大明堂、1998)、『超越と神秘?中国・インド・イスラームの思想世界』 (鎌田繁・森秀樹編、宝積比較宗教・文化叢書第2巻、大明堂、1994)などの多くの著書・論文にまとめられています。なお、先生の古希をお祝いして、森本一夫・井上貴恵・小野純一・澤井真編『イスラームの内と外から-鎌田繁先生古希記念論文集』(ナカニシヤ出版、2023)が出版されております。

ご講演では、丹念な原典読解と深い思索によって発言を続けてこられた鎌田先生のこれまでの研究生活について、ご回想いただきました。

「知の先達たちに聞く―鎌田繁先生をお迎えして―」

日時:6月6日(火曜日)16時30分~18時30分
場所:京都大学吉田キャンパス総合研究2号館4階会議室AA447

講演者:鎌田繁(東京大学東洋文化研究所名誉教授)
タイトル:「極私的イスラーム研究」

会場の所在地については、以下の2点のリンク先の地図をご参照下さい。上のリンク先にある地図では「34」の建物が総合研究2号館になります。会議室はこの建物の4階東側にあります。
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r-y
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kias/contents/access_map08.pdf

Rachida Chih先生の講演会を開催しました。

ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センターおよびイスラーム地域研究センター「ウラマー・スーフィー研究班」では、フランスより近代アラブ・スーフィズム研究者のRachida Chih先生(CNRS-CETOBaC)を招へいし、下記の要領で研究講演会を開催しました。

【日時】2023年5月20日(土曜日)16:00~18:00
【場所】京都大学研究第2号館4階AA447(会議室)

【プログラム】
Rachida Chih (Centre national de la recherche scientifique)”Waking Visions of the Prophet and Sainthood in al-Jazūlī’s Dalā’il al-khayrāt (Fifteen century)”

2023年3月29日 第5回「穏健イスラーム」研究会を実施しました

科研基盤A「非アラブにおける穏健イスラームの研究-インドネシア・パキスタン・トルコの事例から」と平和中島財団アジア地域重点学術研究助成「イスラーム主義に対抗する穏健イスラームの試み――インドネシアの「宗教的穏健化」政策を中心に」の第5回ジョイント研究会(「穏健イスラーム」研究会)をオンラインで実施しました。
日時:3月29日(水)14時~17時
場所:オンライン                                             プログラム:                                        久志本裕子「「過激」な穏健?―マレーシアにおける「穏健」派の微妙な位置」

2023年3月8日 当センター長・東長靖がインドネシア共和国副大統領との宗教対話フォーラムにて研究発表および討論を行いました

当センター長・東長靖がインドネシア共和国副大統領との宗教対話フォーラム(京都大学国際科学イノベーション棟西館5階シンポジウムホール於)にて、研究発表および討論を行いました。また、京都大学イスラム地域研究センター(KIAS)とインドネシアシャリーア経済・財政国家委員会(KNEKS)と学術交流に関する合意書を交わしました(調印式についてインドネシア副大統領府ウェブサイトに掲載されました。リンクはこちら)。

 

2023年2月18-19日 スーフィズム・聖者信仰研究会合宿を実施しました

2022年度スーフィズム聖者信仰研究会合宿を以下の通り実施しました。

【日時】2月18(土)-19日 (日)

【場所】東洋大学 熱海研修センター [ハイブリッド実施]

【プログラム】
2 月 18 日: 13:30–20:00                              (13:30–14:00) 挨拶・自己紹介                                                                             (14:00–16:00) 末野孝典(京都大学)「イブン・アラビーの言説的伝統を読み解  く―イスラーム世界の西の視点から」
(16:00–17:30) 山口匠(東洋大学)読書会(対象図書 タラル・アサド『イスラー  ムの人類学について考える』赤堀雅幸監訳、近藤文哉訳・解題、SIAS Working Paper Series 40、上智大学イスラーム研究センター、2022 年)
(19:00–20:00) 赤堀雅幸(上智大学)フィリピン調査報告

2 月 19 日: 09:00–11:30
(09:00–11:00) 藤本あずさ(京都大学)「現代トルコにおける癒しのセラピー-          スピリチュアリズムとスーフィズム-」
(11:00–11:30) 東長靖(京都大学)セネガル調査報告

運営:  赤堀雅幸(上智大学)、東長靖 (京都大学) 、 近藤文哉 (上智大学)、 鈴木麻菜美(京都大学)                                                                                                         共催: イスラーム研究センター(KIAS、京都大学)、 イスラーム地域研究所(SIAS、上智大学  )、ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センター(KR、京都大学)                                       「非アラブにおける穏健イスラームの研究-インドネシア・パキスタン・トルコの事例か ら」(日本学術振興会「基盤研究(A) 」、課題番号:22H00034)                              「イスラームおよびキリスト教の聖者・聖遺物崇敬の人類学的研究」(日本学術振興会 「基盤研究(A) 」、課題番号:19H00564)                                        「現代イスラームにおける公共性再構築をめぐる動態の研究」(日本私立学校振興・共済 事業団学術研究振興資金)