2019年度第3回KRセミナー”Transmission of Spiritual Knowledge from Arabia to Northwest China: Ma Laichi Abu al-Futuh al-Sini and his Huasi Menhuan Sufi Order”を開催しました。
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Date & time: 25th September, 2019, 15:00 -17:00
Speaker: Dr. Florian Sobieroj (Institut für Orientalistik, Indogermanistik, Ur- und Frühgeschichtlicher Archäologie, Friedrich-Schiller-Universität Jena)
Title: “Transmission of Spiritual Knowledge from Arabia to Northwest China: Ma Laichi Abu al-Futuh al-Sini and his Huasi Menhuan Sufi Order”
Venue: Institute for Research in Humanities, the Main Building (1F Seminar Room), Research Bldg. No. 4, Kyoto University
Language: English
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【講演会報告】
フローリアン・ソビーロイ(Florian Sobieroj)氏に、ドイツのゲッティンゲン自然・人文科学アカデミー主催の、東洋写本カタログ化プロジェクト、KOHD (Union Catalogue of Oriental Manuscripts in German Collections)についてご紹介いただいた後、中国西北部のスーフィー教団、華寺門宦についてご講演いただいた。氏は、まず、華寺門宦の創始者、馬來遅の経歴について話された。とくに彼がメッカで師事した、Muhammad ibn Ahmad ibn ‘Aqilaの道統や学統(ナクシュバンディー、シャーズィリー、カーディリーの道統、ハディース学統、イブン・アラビー学統)を、ドイツ所蔵のアラビア語写本史料などにもとづいて明らかにし、加えて後者が前者に発給したイジャーザ(免許皆伝・布教許可書)について解説された。このイジャーザは、中国の民間所蔵史料であり、氏が偶然に発見したものだという。また、馬來遅がメッカで師事したその他のムスリム学者たちの素性、中国帰国後の馬來遅の足取り、彼とジャフリーヤ教団の創始者、馬明心との関係を、先行研究やジャフリーヤのアラビア語聖者伝(Kitab al-JahriやManaqib)によって説明された。最後に、Minshar、Mada’ih、Mawludといった、華寺やジャフリーヤで使用されている祈祷書についても、解説を加えられた。総じて、氏のご講演は、従来史料的な限界から停滞していた、中国イスラームとヒジャーズのウラマー・ネットワークとの関係に関する研究を一歩前進させる、大変貴重なものであった。
(文責:中西 竜也 京都大学人文科学研究所)